collection of works
Publication January- 2023
梅田 細見大悟 A5判36頁
街にはいつも光が射す。
サラリーマンが急ぎ足で交差点を渡っていく。
高架下のバス停では、いつもの係員が乗客を案内している。
路地裏ではレストランの店員が開店前にタバコを吸っている。
いつもの梅田の朝に、光は誰にも等しく射しているいる。
けれども、光の感じ方は、話し方と同じと同じように人によって違うようだ。
写真を撮る人間にとっては、光の感じ方、光と影の選び方は、表現そのものだ。
ビルの狭間に射し込む光。アスファルトに写る影、逆光のプラットフォーム。
行き交う人々。都市に射す光と影が作る都市的な感覚。
光と影の一瞬をとらえる。
そこに生があるように思えるのだ。
神創美鳥-exquisite- いいまゆみ
神が創造されたこの世界は人間の知恵などが及ばない創造性に満ち溢れている。
特に動物の中でも鳥の多様性の美しさには目を奪われる。
その佇まい、羽繕いの姿、視線の表情の豊かさ全てに魅了されるのである。
美しさの中に宿る命の旋律を、脈と脈の間に潜む魂の震えをその一瞬を私は捉え続けたい。
この度の作品集においては情緒豊かで美しい大和言葉からイメージした鳥の姿をまとめている。
泡沫 うたかた/ephemeral タカギトオル B5判 108ページ 無線綴じ
人は死ぬ。花は枯れて木は朽ちる。
意匠を凝らした建造物も、
技術の粋を結集した最先端の製品も
競い合ってお買い求めされた何某も、
魂をこめて作られた美術作品も
胸に沁みるその音、その楽曲も
目を奪う鮮やかな色彩も
舌がとろけそうになるうまいめしも
感動の嵐を巻き起こす小説や言論も
愛だとか情だとか、気配やさえ
ときが経てばすべては無に帰す。
諸行は無常の理のもと
消却へと向かう現の道のりの途上で
そのはかなき姿を、刹那、とどめておく。
作者キャプションより
Apple Town ~Nago OKINAWA ハマダユキヒコ B5判 56頁
名護市から東に進んだ東海岸に小さな集落がある。
その集落は、APPLE TOWNと呼ばれていて1959年にキャンプシュワブが 完成した時期に同じくしてアメリカ軍のHarry Apple氏が 住人達と手を取り合って築いた街だ。 ベトナム戦争 ベトナム景気の時代に、金武や古座の街と同じように 多くの米兵が足を運び300軒近い飲食店が営まれていたそうだ。 しかし、今ではその繁栄は昔の話で、今は数軒の商店やバー、 残り空家や廃屋が目立つ。
それでも、この街には不思議な魅力がある。
ボクは、そんなAPPLE TOWNに引き込まれながら シャッターを押し続けた。
OKINAWA SIGHT SEEING 石田シンヤ A4判 36頁
沖縄を歩くと、平凡な街並みであっても何か特別な景色に見えてくる。
その特別な景色は、街に住む人達の日常であることはわかっているのだが
どうしてもシャッターを切らずにいられなかった。
東南アジア特有の熱気を帯びた湿った空気のせいではないかと考えたが
自宅のエアコンが効いた部屋で写真を見返しても
そこにあるのは見慣れない特別な景色だった。
作者キャプションより